自然派ソープの選び方

自然派石鹸のpHと肌の関係 弱アルカリ性・弱酸性をどう選ぶ?

Tags: 自然派石鹸, 無添加石鹸, pH, 弱アルカリ性, 敏感肌, 石鹸選び, 肌のpH

自然派石鹸を選ばれる際、「pH」という言葉を耳にされたことはありますでしょうか。洗浄剤のpHは、肌への影響を考える上で一つの目安となります。特に敏感肌の方や、ご家族で安心して使える石鹸をお探しの場合、pHについて基本的な知識があると、より納得して石鹸を選べるようになるかもしれません。

この記事では、自然派石鹸とpHの関係に焦点を当て、弱アルカリ性や弱酸性といった言葉が肌にどう影響するのか、そしてご自身の肌質や目的に合った石鹸を選ぶためのヒントをご紹介いたします。

pHとは何か?肌のpHバランスについて

まず、pHについて簡単にご説明します。pHは、酸性・中性・アルカリ性の度合いを示す単位で、0から14までの数値で表されます。pH7が中性で、7より小さいと酸性、大きいとアルカリ性となります。

健康な肌の表面は、通常pH4.5~6.0程度の弱酸性に保たれています。これは、汗や皮脂が混ざり合ってできた皮脂膜や角質層が、肌を外部の刺激や雑菌から守るバリア機能を果たしているためです。この弱酸性の状態が保たれていることで、肌の常在菌バランスも良好に保たれやすくなります。

石鹸(純石鹸)のpH特性

一般的な固形石鹸、特に自然由来の油脂とアルカリ剤を反応させて作る「純石鹸」と呼ばれるものは、製造過程の性質上、弱アルカリ性(pH8~10程度)となります。

弱アルカリ性の洗浄剤は、汚れ(酸性の性質を持つ皮脂汚れや垢など)を効果的に落とすという特長があります。これは、アルカリ性の成分が酸性の汚れを中和し、肌から浮き上がらせやすくするためです。また、弱アルカリ性の環境では、固形石鹸の洗浄成分である脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムが水に溶けやすく、泡立ちが良いと感じられることが多いかもしれません。

なぜ弱アルカリ性の石鹸でも「肌に優しい」と言われることがあるのか?

弱アルカリ性の石鹸が肌に触れると、一時的に肌の表面がアルカリ性に傾きます。これだけ聞くと肌に負担がかかるように思えるかもしれません。しかし、健康な肌には、pHが一時的に変化しても短時間で元の弱酸性に戻ろうとする「アルカリ中和能」という働きが備わっています。

加えて、自然派の固形石鹸には、製造過程で天然の保湿成分であるグリセリンが含まれることが多いです。また、洗浄成分そのものが比較的シンプルであり、洗い流しもスムーズに行えるため、適切に使用すれば肌への負担を抑えられると考えられています。重要なのは、肌にのせている時間を短くし、しっかりとすすぎを行うことです。

弱酸性の洗浄剤について

一方、市販されている多くのボディソープや洗顔料は、合成界面活性剤を主成分としており、肌のpHに近い弱酸性に調整されています。弱酸性の洗浄剤は、肌の弱酸性バリアを保ちながら洗えるため、洗浄によるpH変動が少なく、肌への刺激が少ないと感じられる場合があります。特に肌のアルカリ中和能が低い方や、非常にデリケートな状態の肌には適しているとされることもあります。

ただし、弱酸性であること自体が「肌に優しい」の全てではありません。配合されている合成界面活性剤の種類や他の添加物によっては、肌への負担となる可能性も考慮する必要があります。

自然派石鹸選びにおけるpHの考え方

多くの無添加・自然派を謳う固形石鹸は、前述の通り純石鹸であり弱アルカリ性です。選び方のポイントとしては、pHだけにとらわれず、以下の点を総合的に考慮することをおすすめします。

  1. 成分全体を見る: 石鹸成分(石ケン素地、カリ石ケン素地など)以外の配合成分(保湿成分、香り成分、その他の添加物)を確認しましょう。シンプルな成分構成であること、ご自身の肌に合わない成分が含まれていないかが重要です。「自然派石鹸選びで避けたい成分一覧」の記事なども参考にしてみてください。
  2. 肌質や肌の状態との相性: 敏感肌や乾燥が気になる場合は、洗浄力が穏やかなものを選ぶ、または短時間で優しく洗い、保湿をしっかりと行うなどの工夫が必要です。同じ弱アルカリ性の石鹸でも、原料となる油脂の種類によって洗い上がりの感触は異なります。オレイン酸が多いオイル(オリーブオイルなど)主体の石鹸は比較的マイルドと言われることがあります。
  3. 使用感や洗い上がり: 実際に少量から試してみるのが最も確実です。洗った後の肌がつっぱらないか、乾燥しすぎないかなど、ご自身の肌の反応を確認しましょう。泡立ち方や泡切れの良さも、快適に使い続ける上での大切な要素です。
  4. 洗い方: 弱アルカリ性石鹸を使用する際は、ゴシゴシと擦りすぎず、たっぷりの泡で優しく洗い、ぬるま湯で素早く、そしてしっかりと洗い流すことが肌への負担を減らす重要なポイントとなります。「自然派石鹸で肌がつっぱる?その理由とやさしい洗い方のポイント」も参考にしてください。

「自然派」や「無添加」と表示されていても、すべての石鹸が完全に同じ性質を持つわけではありません。pHもその一つですが、それだけで石鹸の良し悪しや肌への合う・合わないが決まるわけではないことをご理解いただければと思います。

まとめ

自然派石鹸の多くは弱アルカリ性であり、これは洗浄力を得る上で自然な性質です。健康な肌であれば、一時的にアルカリ性に傾いてもすぐに元の弱酸性に戻る力が備わっています。

弱酸性の洗浄剤は肌のpHを保ちやすいという利点がありますが、必ずしも弱酸性であれば肌に優しいというわけではなく、成分全体を見ることが大切です。

ご自身の肌に合った自然派石鹸を見つけるためには、pHを一つの情報として捉えつつ、配合成分、肌との相性、洗い方などを総合的に考慮することが重要です。情報に惑わされず、ご自身の肌が心地よいと感じる石鹸を選ぶ参考にしていただけましたら幸いです。