自然派石鹸で肌がつっぱる?その理由とやさしい洗い方のポイント
自然派石鹸の「つっぱり感」なぜ起こるのでしょうか
合成界面活性剤を使わない、肌にも環境にも優しいとされる自然派石鹸。その魅力に惹かれて使い始めた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、中には「洗った後に肌がつっぱる感じがする」という経験をお持ちの方もいらっしゃるようです。
自然派石鹸は、肌の汚れをしっかりと落としてくれる一方で、使用後に独特のつっぱり感やキュキュッとした感触が残ることがあります。特に合成界面活性剤を含む洗顔料やボディソープから切り替えた際に、この感覚を強く感じる方もいらっしゃるようです。
このつっぱり感は、肌への負担を示唆しているのではないかと心配になるかもしれません。しかし、自然派石鹸で感じるつっぱり感にはいくつかの理由があり、必ずしも肌に悪いサインとは限りません。大切なのは、その理由を理解し、肌に優しいケアを心がけることです。
この記事では、自然派石鹸を使った際につっぱり感が生じやすい理由と、その対策として実践できるやさしい洗い方、そして製品選びのヒントについて詳しく解説します。
自然派石鹸でつっぱり感が生じやすい理由
自然派石鹸、特に固形石鹸の多くは、天然の油脂と水、そして水酸化ナトリウム(または水酸化カリウム)を鹸化させて作られます。この製法によってできる石鹸は、弱アルカリ性を示します。
人間の肌の表面は通常、弱酸性です。弱酸性の肌に弱アルカリ性の石鹸を使用すると、肌の表面のpHが一時的にアルカリ性に傾きます。健康な肌であれば、すぐに弱酸性に戻るバッファー機能(肌のpHを一定に保とうとする働き)が備わっています。しかし、このpHの変化や洗浄力によって、一時的に肌の水分や天然保湿因子(NMF)が洗い流されやすくなり、つっぱり感として感じられることがあります。
つっぱり感が起こりやすい主な理由をいくつかご紹介します。
- 石鹸の洗浄力とアルカリ性: 石鹸の洗浄作用は、油汚れなどを乳化して落とすことにあります。この洗浄力は、アルカリ性であることと関連しています。健康な肌にとっては問題となりにくい性質ですが、肌が乾燥している場合や、バリア機能が低下している敏感肌の場合、この洗浄作用や一時的なpHの変化が、つっぱり感や乾燥につながりやすくなることがあります。
- 洗い方: 熱いお湯での洗顔や、肌をごしごしと強くこする洗い方は、肌に必要な皮脂や水分を過剰に洗い流してしまいます。これは、どんな洗浄料を使ってもつっぱり感や乾燥の原因となりますが、石鹸の洗浄力と組み合わさることで、より強く感じられることがあります。
- 製品による違い: 自然派石鹸と一口に言っても、使われている油脂の種類(オリーブオイル、ココナッツオイル、シアバターなど)、鹸化の方法、配合されている保湿成分(グリセリン、ハチミツ、植物エキスなど)によって性質は大きく異なります。保湿成分が少ない石鹸や、洗浄力の高い油脂を主に使用した石鹸は、比較的つっぱり感が出やすい傾向があるかもしれません。
- 肌質や体調: もともと乾燥しやすい肌質の方や、季節や体調によって肌のバリア機能が低下している時は、健康な時よりもつっぱり感を感じやすくなります。
つっぱり感を軽減するためのやさしい洗い方
自然派石鹸の特性を理解した上で、洗い方を少し工夫することで、つっぱり感を軽減し、肌への負担を和らげることができます。
- しっかりと泡立てる: 石鹸はそのまま肌につけるのではなく、きめ細かく弾力のある泡をしっかりと作ってから使いましょう。泡がクッションとなり、肌と手の間の摩擦を減らすことができます。泡立てネットなどを使うと、簡単に豊かな泡を作ることができます。
- 泡でやさしく洗う: 作った泡を肌に乗せ、肌を直接こすらないように、泡を転がすようにやさしく洗いましょう。汚れは泡が吸着して浮き上がらせてくれます。特に敏感な部分は、なでるように洗うのがポイントです。
- ぬるま湯で丁寧にすすぐ: すすぎは、体温より少し低めのぬるま湯(32℃~35℃程度)で行うのが理想的です。熱すぎるお湯は肌の皮脂を奪いすぎてしまいます。石鹸成分が肌に残らないよう、フェイスラインや髪の生え際なども含め、すすぎ残しがないように丁寧に洗い流しましょう。
- 洗顔・入浴後はすぐに保湿: 洗い終わった肌は水分が蒸発しやすく、乾燥しやすい状態です。タオルで水分を優しく押さえるように拭いたら、間をおかずに化粧水や乳液、クリームなどでしっかりと保湿ケアを行いましょう。
製品選びでつっぱり感を避けるヒント
製品選びも、つっぱり感を軽減するための一つの重要なポイントです。
- 保湿力の高い油脂や成分をチェック: 石鹸の原料となる油脂の種類によって、洗い上がりの感触は異なります。オレイン酸を多く含むオリーブオイルや、シアバター、ホホバオイルなどは、比較的洗い上がりがしっとりしやすい傾向があります。また、グリセリンなどの保湿成分がより多く含まれている石鹸を選ぶのも良いでしょう。
- 製法による違いを考慮する: 「コールドプロセス製法」で作られた石鹸は、製造過程で熱をあまり加えないため、油脂の持つ天然の保湿成分(グリセリンなど)が石鹸の中に残りやすいと言われています。これにより、洗い上がりが比較的マイルドになることがあります。
- 成分表示を確認する: 成分表示を見て、シンプルな構成の石鹸を選ぶことを基本としつつ、自身の肌に合いそうな油脂や保湿成分が含まれているかを確認するのも参考になります。
- トライアルやサンプルを活用する: 気になる石鹸があれば、まずは小さなサイズやサンプルで試してみることをお勧めします。実際に自分の肌で洗い上がりやつっぱり感の程度を確認することが、失敗しない選び方につながります。
まとめ:肌に合った石鹸と洗い方を見つけるために
自然派石鹸の使用後につっぱり感を感じることがあっても、それは石鹸本来の洗浄力や特性によるものであり、必ずしも肌に合わないサインというわけではありません。
大切なのは、そのつっぱり感の程度が自身の肌にとって許容範囲であるかを見極めること、そしてご紹介したようなやさしい洗い方を実践してみることです。洗い方を工夫してもつっぱり感が強く続く場合や、かゆみ、赤みなどを伴う場合は、その石鹸が現在の肌の状態に合っていない可能性も考えられます。
様々な種類の自然派石鹸がありますので、ご自身の肌質や季節の肌の状態に合わせて、最適な石鹸と洗い方を見つけていくプロセスも、自然派スキンケアの楽しみの一つと言えるでしょう。焦らずに、ご自身の肌の声に耳を傾けながら、心地よく使える自然派石鹸を見つけていただければ幸いです。