市販のボディソープ・洗顔料との違いは?自然派石鹸の成分・肌・環境への影響を徹底比較
自然派石鹸に関心をお持ちの皆様の中には、「今使っているボディソープや洗顔料と何が違うのだろうか」「本当に肌や環境に良いのだろうか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。情報が多くて、どれを選べば良いか迷ってしまうこともあるかと思います。
この度、自然派石鹸と一般的な市販のボディソープ・洗顔料について、その成分、肌への影響、そして環境負荷といった観点から、それぞれの違いを解説いたします。これらの違いを理解することで、ご自身の肌質やライフスタイル、そして環境への配慮という視点から、より納得のいく洗浄料選びの一助となれば幸いです。
自然派石鹸とは
「自然派石鹸」「無添加石鹸」と呼ばれる製品には様々な定義がありますが、一般的には、主に天然由来の油脂とアルカリを反応させて作られる「石鹸素地」を主成分とし、合成界面活性剤、合成防腐剤、合成着色料、合成香料などの合成添加物の使用を抑えている、または使用していない石鹸を指すことが多いです。
市販のボディソープ・洗顔料とは
一方で、一般的に広く流通している市販のボディソープや洗顔料の多くは、石油や天然油脂を原料として化学的に合成された「合成界面活性剤」を主な洗浄成分としています。泡立ちを良くしたり、洗い上がりの感触を調整したりするために、多様な合成成分が配合されている製品が多いです。
成分における主な違い
自然派石鹸と市販の洗浄料では、最も基本的な洗浄成分に違いがあります。
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自然派石鹸:
- 主成分は「石鹸素地」(カリ石ケン素地、石ケン素地などと表示されます)。これは天然油脂(オリーブ油、ヤシ油、パーム油など)と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを反応させて作られます。
- 製造過程で天然保湿成分である「グリセリン」が生成されます。製品によっては、さらに植物オイルやエキス、天然の精油などが加えられることもあります。
- 合成界面活性剤、合成防腐剤(パラベンなど)、合成着色料、合成香料、品質安定剤などが含まれていない製品が多いです。
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市販のボディソープ・洗顔料:
- 主成分は「合成界面活性剤」(ラウレス硫酸Na、ラウリル硫酸Na、スルホコハク酸(C12-14)パレス-2Na、ココイルメチルタウリンNaなど)。これらの成分が汚れを落とします。
- 肌のつっぱり感を軽減したり、しっとり感を与えたりするために、合成ポリマー、シリコーン、多価アルコールなどの保湿成分や調整剤が配合されることがあります。
- 製品の品質を維持し、使用感を高めるために、合成防腐剤、合成着色料、合成香料などが広く使用されています。
成分表示を確認する際は、製品パッケージの裏などに記載されている成分表をよく読むことが大切です。「石鹸素地」が主成分か、あるいは「ラウレス硫酸Na」といった合成界面活性剤が上位に記載されているかなどが、両者を見分ける一つの目安となります。
肌への影響における違い
洗浄成分の違いは、洗い上がりや肌への影響にも関連してきます。
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自然派石鹸:
- 洗浄力は比較的穏やかなものが多い傾向があります。肌本来のうるおい成分を過剰に洗い流しにくいとされる一方で、石鹸カス(金属石鹸)が肌に残るとつっぱり感やかゆみの原因となる可能性も指摘されます。
- 弱アルカリ性であるため、一時的に肌のpHをアルカリ側に傾けますが、健康な肌であれば速やかに弱酸性に戻る性質があります。敏感肌の方や肌の状態によっては、このアルカリ性が刺激になる場合もあります。
- 天然由来のグリセリンを含むため、洗い上がりに比較的自然な保湿感が得られることがあります。合成添加物が少ないため、肌への負担を減らしたい方や、特定の成分に敏感な方にとって選択肢となります。
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市販のボディソープ・洗顔料:
- 合成界面活性剤の種類により、非常に強い洗浄力を持つものから穏やかなものまで様々です。泡立ちが良く、すすぎやすい製品が多いです。
- 肌のバリア機能を構成する成分を洗い流しやすいという指摘もありますが、多くの製品には保湿成分が豊富に配合されており、洗い上がりのしっとり感を重視した製品が多いです。
- 弱酸性や中性の製品が多く、肌のpHを一時的に大きく変えにくいという特徴があります。しかし、配合されている合成成分が特定の肌質の方には合わない場合もあります。
敏感肌の方やお子様に使用する際は、どちらのタイプを選ぶにしても、まず少量で試してみるなど、肌の様子を見ながら判断することが推奨されます。成分表示をよく確認し、ご自身の肌に合わない成分が配合されていないかを確認することも大切です。
環境負荷における違い
「環境にも良い無添加・自然派石鹸」という観点から、環境負荷の違いにも触れておきます。
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自然派石鹸:
- 主成分である石鹸素地は、使用後、水中で比較的速やかに脂肪酸と金属石鹸に分解されます。これらの物質は、微生物によってさらに分解されやすい性質を持っています。
- 合成界面活性剤と比較して、河川などへの負荷が少ないと考えられています。
- 固形石鹸の場合、プラスチック製の容器が不要であったり、簡易な紙パッケージであったりと、パッケージによる環境負荷が少ない製品が多いです。
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市販のボディソープ・洗顔料:
- 配合されている合成界面活性剤の種類によっては、生分解性が低いものがあり、環境中に長く残留する可能性があります。
- 多くはプラスチック製のボトルに入っており、容器の製造や廃棄における環境負荷も考慮する必要があります。詰替用パックなども普及していますが、完全にプラスチックフリーというわけではありません。
環境への配慮という点では、成分の生分解性だけでなく、パッケージの素材、製造工程でのエネルギー使用量なども重要な要素となります。
どちらを選ぶ? 選び方のヒント
自然派石鹸と市販のボディソープ・洗顔料には、それぞれ異なる特徴があります。どちらが「優れている」というよりは、ご自身の「何を重視するか」によって最適な選択が変わってきます。
- 肌への優しさを最も重視し、合成添加物を極力避けたい: 自然派石鹸の中から、成分表示をよく確認して選ぶのが良いでしょう。シンプルな成分構成のものがおすすめです。
- 敏感肌で、肌のpH変化が気になる: 市販の弱酸性洗浄料も選択肢に入ります。ただし、配合されている合成界面活性剤や他の添加成分が刺激にならないか確認が必要です。自然派石鹸の中にも、使用しているオイルの種類などにより比較的穏やかな使用感のものがあります。
- 泡立ちの良さや使用感を重視し、洗い上がりのしっとり感を求める: 市販のボディソープや洗顔料は多様な製品があり、好みの使用感のものを見つけやすいかもしれません。
- 環境への負荷を減らしたい: 生分解性の高い石鹸素地を主成分とする自然派石鹸、特に固形タイプは、環境負荷が少ない選択肢の一つと言えます。パッケージ素材も確認しましょう。
- 忙しい毎日の中で、手軽さを重視したい: 泡で出てくるタイプや、ワンプッシュで使える液体タイプの洗浄料(自然派、市販品問わず)は便利です。ただし、利便性のために添加物が増えている場合もありますので、成分を確認することをおすすめします。
- お子様にも安心して使いたい: 成分がシンプルで、アレルギーなどを引き起こす可能性のある成分が含まれていないか確認することが重要です。自然派石鹸の中には、赤ちゃんや子供向けに作られた製品もあります。
まとめ
自然派石鹸と一般的な市販のボディソープ・洗顔料は、洗浄成分や製造方法に違いがあり、それが肌への影響や環境負荷にもつながります。
- 自然派石鹸: 天然由来成分が主で、合成添加物が少ない。肌への負担を減らしたい方や環境を意識する方に選ばれる傾向があります。洗浄力は穏やかで、天然の保湿成分を含みます。
- 市販のボディソープ・洗顔料: 合成界面活性剤が主で、機能性や使用感を高めるための多様な成分が配合されています。泡立ちや洗い上がりの調整がしやすいです。
どちらの製品を選ぶにしても、ご自身の肌質やライフスタイル、そして環境への考え方に合わせて、成分表示をよく確認し、情報を理解した上で判断することが大切です。この記事が、皆様の洗浄料選びの一助となれば幸いです。